花くまゆうさくのはんぱ人間を読んだ
ここには
カフカ由来の変身物の定番プロットが完備されている
まず
黒い影として主人公の背後に
不気味にそびえるコンビナートなど
機会文明社会の管理された殺風景と
冴えない男の底辺な日常が描かれる
そこには
寮の屋外の洗濯機などの荒涼が配置される
黒沢明の生きるでは
書類の散乱する役所の窓際
さらに
男は
報われない非現実的な恋に孤独な自室で悶々としていたりもする
そして
メフィストフェレス役やマッドサイエンティスト役といった
奇妙な人々との出会いの場として
不気味な研究所と見知らぬ街が描かれる
黒沢明の生きるでは
病院の診察室であり盛り場である
安部公房の燃えつきた地図や箱男もその系譜
そこにおいては
変身人間にされてしまい矮小な人生は荒波のように翻弄される
そこにおいては
殺人と逃亡と犯罪と不条理のヒッチコックな
スパイや探偵の入り乱れる活劇世界が広がる
ついには
やがてクライマックスを迎え
主人公の男は神話的な場所で英雄となって散る
例えば
土曜ワイドな断崖や
ビルの屋上や
東京タワーからの墜落
ここで
松本清張のゼロの焦点も変身人間物としてあげておく
黒沢明の生きるでは
ありえないほどの雪の降り積もる
ビルの谷間の公園のブランコ上で
主人公は遭難したかのように描かれる
歌いながら雪に埋もれ消えていく
故に
このシーンにおいて
黒沢明の生きるは
主人公役の名演も手伝い
東宝変身人間シリーズ中
ガス人間をも超える傑作な変身人間の最期を描いたといえる
黒沢明の生きるは
敢えて変身人間シリーズと声を大にして問いたい
決して泣ける難病物なんかではない
彼はスーパーマンである
逆に帰ってきたウルトラマンは
スーパーマンなんかではない
彼は悲しき変身人間である
帰ってきたウルトラマンの冒頭二話は
その荒涼とした感じも素晴らしく
ウルトラセブン最終二話をもしのぐ
悲しき変身人間物の傑作である
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